埼玉県にて、「ヘドロ沼地(池)」を地盤補強し、国道と駐車場を建設した。
国道254号線への接続道路の工事

国道254号線への接続道路の工事において、新設道路と254号線の合流部分に沼地があり、この部分の地盤補強と残り沼地部を地盤補強して、駐車場とする計画である。
新設道路と254号線の合流部分に「ヘドロ沼地(池)」

水深1m程度の沼地で、粘土層が30m程度堆積する地層だ。
沼地に掛かる道路部は、幅2.5m、延長約30m。
駐車場部の地盤補強面積は約350㎡。
施工直前の現場状況
当初この現場では一ヶ月程のあいだ沼地の水を排水していた。
そのため、表層部に乾燥した時の跡が見られる。
掘削状況
表層部から50cm~1m程度は腐葉土、その下層部は粘性土であった。
作業員の足場確保、及びヘドロの隆起を抑制するために「透水性補強シート」を敷き、その上部にD・Boxを敷設。
D・Boxの敷設

D・Box敷設状況。
写真手前のD・Boxは、敷設時の挙動を見るため直接地盤面に敷設している。
D・Boxを敷設した直後、バックフォーのバケット部分で、バランスを見ながらD・Boxを可能な限り下方に押し込んでいく。
D・Boxが10cm程沈下すると急激に反力が出てきた。
バックフォーのキャタピラが浮き上 がり、それ以上押せない。

道路の際に敷設されるU字溝の高さが変わるため、高さの変わる両端部にD・Boxを敷設した後、間をD・Boxで埋めていく。

レベル差を調整するよう、両端部からD・Boxを敷設するため、このような隙間ができる。
隙間の幅を最大でも40cm以内とし、この部分には砕石を投入。
この状態で、隙間部の黒色の土木シートを触ってみると水風船のような感触だった。
1段目の施工状況

端部にはコンクリート擁壁(75度程度の勾配)がある
そのため、D・Boxを端部より幾分離して敷設した。
隙間部に透水性のある土木シートで区画して砕石を投入。
翌日のD・Boxの様子
D・Boxは完全に水没しているが、上に乗るとコンクリート板の上を歩いているような感覚。
さらにD・Boxを重ね、その上に重機が乗り上げる。
重機の操縦者もはじめは恐る恐るだった。
道路部の下部には、D・Box-LS150を1段1列敷設。
その上部にD・Box-LS100を1段2列敷設。
D・Boxの中にはこの土地のヘドロをそのまま”再利用”しており、コスト削減にもなる。
重機操縦者はすでに恐がることもなく、悠々と作業を進めるようになった。
駐車場部はD・Box-LS150を1段敷設。端部の処理にD・Box-SS45 を2段程度敷設する。

なお、このD・Boxで補強された沼地部の沈下量については、D・Box敷設後4週間程度で沈下はほぼ収束し、その時の平均沈下量は27.5mmであった。
施工状況を動画で
下の動画もどうぞお楽しみください。
施工前の地盤との比較から実際の凄さを動画で実感してください。
松岡元のYoutubeチャンネルはこちら。
また、他の事例についてはこちらをご参照ください。
「D・Box工法の設計・施工の基礎」についてはこちらをご覧ください。
「現代版土のう「D・Box」の概要や種類」についてはこちらをご参照ください。
「「土を育てる」工法(D・Box工法)とは?」はこちらをご覧ください。