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現代版土のう「D・BOX」
2011年2月、D・BOX工法が国土交通省でNETIS登録されました(登録番号:KT-100098)。
概要
もはや『土のう』とは呼べないほど進化した工法。単なる仮設材でもなく、単なる災害対策技術でもない。地耐力の大幅な向上、局所圧密・強化作用、そして地震動や交通振動の低減を可能にし、しかも環境負荷が少なく、耐久性やコストパフォーマンスが高い。この工法を『D・BOX(ディー・ボックス)工法』と名付け直しました。ついに『土のう』はここまで進化と信頼性を遂げたのです。
名称の由来
『D・BOX』とは、区画分割された箱状の単位(Divided Box)を意味しており、土の区画拘束原理を最大限に生かすよう工夫された箱状の袋です。袋の上面は完全に開口するので現場での中詰め材の投入が容易であり、袋の閉口はマジックテープによりワンタッチで行なえます。『D・BOX』には『SSタイプ』と『LSタイプ』の2系統があります。
D・BOX-SS
袋内部にガイドゲージというプラスチック製の連結ジグを設けた小型D・BOXで、重機の搬入が困難な現場などでも使用できる機動性を持ち、ガイドゲージにより構造物に合った正確な寸法で設置できます。ジョイントにより水平2方向に完全接続できるため、高い連続性と大きな荷重分散効果が得られます。
使用パーツと設置例
種類:
SS45(寸法:45cm×45cm×高さ8cm)
SS90(寸法:90cm×90cm×高さ8cm)
D・BOX-LS
袋内部にトラスバンドという補強バンドを有する吊り上げ設置式の大型D・BOXで、中央のリフトバンドを吊り上げることによって、内部の土を固化させ直方体形状を維持したままで吊り上げ移動ができます。このため設置作業の大幅な効率化が図れるのです。
吊り上げ状況と設置例
種類:
LS100(寸法:100cm×100cm×高さ25cm)
LS150(寸法:150cm×150cm×高さ45cm)
D・BOX-LS150作成法
D・BOXは、袋だけを販売することはしておりません
それは、本工法を安全かつ適正に実施していただきたいからです。袋を見よう見まねで並べれば良いというものではありません。施工目的や地盤条件、荷重条件他の情報をいただいて、D・BOXの配置をこちらで決めさせていただきます(無償です)。
そして、初めてD・BOXの施工をされる場合は、最初に現地で施工方法の技術指導をさせていただきます(遠方の場合は、旅費の実費程度はお考え下さい)。
私たちの目的は、本工法を安全かつ適正に普及させることです。そして、願わくば、本工法のファンになっていただくことです。
ご遠慮なく、メールやお電話でご相談下さい。
本プロジェクトには、障害者施設を支援するシステムが組み込まれています
具体的には、D・BOXにガイドゲージと呼ばれるプラスチック製の枠をはめこむ作業を障害者施設にお願いし、通常の手間賃の数10倍の費用をお支払いして障害者の自活を支援するものです。結果として、国や県は障害者施設への補助金を節約できますから、その分を道路や他の土木・建築経費に回すこともでき、建設分野の活性化にもつながります。
これは、新たな取り組みとして注目され、すでに機能しています。例えば、本工法で道路を1km建設すれば、5〜10人/年の障害者が自活できて、自尊心を保ちつつ生活できるというものです。そのためには、本工法が他に追随を許さない抜群の技術であることが基本となります。埼玉県、山梨県、愛知県の一部ですでに使われています。
資本主義社会では利潤追求が第一ですが、利益の一部を初めから社会−できれば様々な意味で支援の必要な“弱い社会”に還元することを組み込んだシステムを構築し、利益の均等化、「均等をはかる」精神を実現する方法の一つになっています。このような相互扶助精神に基づく利益の均等化システムの構築は、さまざまな分野で応用が可能と思われます。
土のう工法施工上の注意
『土のう』は古くから使われている方法であるため、『高規格土のう工法』そのものも簡単に施工できると誤解されがちです。しかし、実際には正しい設計・施工・理論的な裏付け・経験等を必要とする『専門技術』であり、決して『見よう見まね』で採用できるものではありません。『似て非なる』ものとなります。どんな工法にも共通しますが、中途半端な知識で施工すれば、確実な性能を保証できませんし、危険が伴う場合もあります。
松岡は、本工法の普及については徹底的な学習が必要であることをすべての関係者に強調してきました。本工法を採用し、設計や施工をするに当たっては、土質力学・地盤工学と共に『土のう』工法の技術をしっかりと学んで理解し、確実に身に付ける必要があります。今後も勉強会等を通して、様々な方面で本工法をご活用いただけるよう援助していきたいと考えております。
高規格土のう工法「ソイルバッグ」の研究・開発者
名古屋工業大学名誉教授 工学博士 松岡 元