
松岡 元よりご挨拶
私、松岡 元は、若い頃には、土粒子1個1個がどのように動くかなど徹底した基礎研究に打ち込みました。
なぜなら、物事の根源―本質―を見極めたかったからです。
SMP(松岡・中井)破壊規準を発見
その中から、土質・地盤技術者がよく用いているモール・クーロン破壊規準(粘着力cと内部摩擦角φで規定される)の3次元版に相当するSMP(松岡・中井)破壊規準(空間滑動面ーSMPーに基づいた土質材料の破壊規準)を発見できたのは幸いでした。
このSMP規準は、金属材料に対するトレスカ規準、ミーゼス規準とも明快に位置付けられます。
すなわち、
- 砂のようなバラバラの粒状材料の2次元版のモール・クーロン規準
- その3次元版のSMP(松岡・中井)規準
- 結晶構造で固く結ばれた金属材料の2次元版のトレスカ規準
- その3次元版のミーゼス規準
これら4規準の相互関係は数学的にも物理的にも極めて美しくシンプルで、他のものが入り込む余地は全くありません。
歴史に残る発見として、世界的に高く評価されています。

詳しくはこちらをご覧ください。

研究の方向性の転換
50歳になろうかという時に、自分の研究を祈りの内に振り返る機会がありました。
これまで、国民の税金で好きなことをやらせていただいてきたのだから、最後の10年位は少し役に立つことも考えなくてはと思い始めました。
そして、土質力学(Soil Mechanics)の応用部分である土圧問題、支持力問題、斜面の安定問題を対象とした模型実験を行ないました。
その中から、先人の知恵「土のう」を力学的に解明し、従来は仮設資材であったものを本設資材として積極的に活用する高規格土のう工法「ソイルバッグ(D・Box)工法」を開発できたことは大きな喜びです。
*なお、D・Boxは、松岡らが開発した土のう(ソイルバッグ)工法の理論・効果・工事実績と指導に基づいて、メトリー技術研究所(株)野本太社長が開発した製品です。これは、土のう(ソイルバッグ)の持つ地盤補強と液状化・振動・地震動低減などの多様な効果を実際の公共工事に対応できるように発展させたものです。
ソイルバッグ(D・Box)工法
ソイルバッグ(D・Box)を用いた工法は、
- 支持力増大・沈下抑制効果
- 土のう袋の編み目のフィルター効果により、土のう直下の軟弱地盤の局所圧密・育成強化を促す
- 液状化低減効果
- 土のう袋の編み目のフィルター効果により、水を抜いて水圧を下げ砂の流出を止める
- 交通振動・地震動低減効果
- 土のう積層体のバラバラでしなやかな特性により、交通振動や機械振動・地震動の低減を促す
- 凍上防止効果
- 土のう袋の中に粒の大きな砕石を入れることにより、水の毛管上昇を阻止する
といった効果があります。
このような一石”多”鳥の多くの効果を生み出す土のう(ソイルバッグ)工法は、人間の叡智を超えた素晴らしい工法です。
本工法は現時点で海外も含め5,000件以上の施工実績を持っています。
今後、日本国内はもとより、開発途上国を含め世界中で普及するよう、できる限りの努力を傾けていきたいと考えております。
皆様のいっそうのご協力とご支援をお願い申しあげます。

学歴
1966年 3月 | 京都大学工学部 土木工学科 卒業 |
1968年 3月 | 京都大学大学院 工学研究科 土木工学専攻 修士課程 終了 |
1971年 3月 | 京都大学大学院 工学研究科 土木工学専攻 博士課程 単位取得 |
学位
1974年 1月 | 工学博士(京都大学) ”DEFORMATION CHARACTERISTICS OF SOIL” |
職歴
1971年 4月 | 京都大学 防災研究所 助手 |
1973年 4月 | 京都大学 防災研究所 助教授 |
1976年 4月 | 名古屋工業大学 工学部 助教授 |
1976年 9月 | ノルウェー地盤工学研究所へ海外研修(1977年10月まで) |
1986年 1月 | 文部省長期在外研究員として、オーストラリア シドニー大学および 英国 オックスフォード大学へ出張(1986年11月まで) |
1987年10月 | 名古屋工業大学 工学部教授 |
2006年 4月 | 名古屋工業大学 名誉教授(現在に至る) |
所属学会
- 地盤工学会
- 土木学会(現在退会)
- 建築学会(現在退会)
著書一覧

「D・Box工法の設計・施工の基礎 ~地盤育成強化と液状化・振動・地震動低減~」
2020年10月 森北出版株式会社 (山本春行・野本 太と共著)

「The SMP Concept-based 3D Constitutive Models for Geomaterials」
2006年 Taylor & Francis(旧A. A. Balkema)社 (D. A. Sunと共著)

「A New Earth Reinforcement Method using Soilbags」
2006年 Taylor & Francis(旧A. A. Balkema)社 (S. H. Liuと共著)
論文一覧
*全論文百数十編のうち、「土のう工法」に関する一部を紹介。

「現代版土のう工法としてのD・BOX工法と その「一石”多”鳥」効果 <上><下>」
(財)建設物価調査会発行の季刊 土木コスト情報(2011年1月号、4月号)記事より

「現代版土のう工法としてのD・BOX工法と その局所圧密効果および振動低減効果」
ジオシンセティックス論文集投稿 2010年12月4日

「超軟弱地盤(沼地)対策のための高規格連結土のう工法 - 国道125号線(埼玉県)道路工事」
基礎工 Vol.36,No.4 2008年4月号,pp.71〜75
受賞
1975年 | 地盤工学会奨励賞 |
1987年 | 地盤工学会論文賞 |
1999年 | 地盤工学会功労賞 |
2004年 | 土木学会技術開発賞(原位置せん断試験法)、簡明技術賞(PORT賞) |
2005年 | 土木学会技術開発賞(高規格土のう工法「ソイルバッグ工法」) |
社会的活動
1973年 | 地盤工学会 関西支部幹事 |
1976年 | 地盤工学会 中部支部幹事 |
1980年 | 地盤工学会 論文報告編集委員会委員 |
1986年 | 土木学会 中部支部幹事 |
1990年 | 地盤工学会 理事 |
1992年 | 地盤工学会 中部副支部長 |
1994年 | 地盤工学会 中部支部長 |
1996年 | 土木学会 中部支部商議員 |
2004年 | 土木学会 表彰委員 |
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「D・Box工法の設計・施工の基礎」についてはこちらをご覧ください。
「現代版土のう「D・Box」の概要や種類」についてはこちらをご参照ください。